探偵は、業務を適正に行うために「探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)」という法律を守らなければなりません。「探偵業法」やその他の法律に違反した場合、行政処分を受けることになります。
探偵に調査を依頼しようと考えているなら、行政処分を受けていない「適正に運営されている探偵事務所」を選ぶことが大切です。当記事では、行政処分を受けている探偵事務所の見分け方について解説していくので、最後まで読んで参考にしてみてください。
行政処分を受けた探偵を見分ける方法
行政処分を受けている探偵事務所は「探偵業務を適正に行っていない」ということになります。探偵に調査を依頼するなら、行政処分を受けているかどうか見極めなければなりません。
では、行政処分を受けている探偵を見分ける方法について解説します。
警視庁のホームページで確認
行政処分を受けている探偵事務所は、行政処分を受けた日から3年間は警視庁のホームページで公表されます。また各都道府県警察のホームページを確認しても確認は可能ですのでこれから探偵事務所に依頼しようと考えているか方は調べてみましょう。
- 探偵業届出証明書番号
- 指名又は名称
- 代表者の氏名
- 営業所の所在地
- 処分年月日
- 処分内容
- 処分理由・根拠法令
- 処分を行った都道府県公安委員会
上記のような情報が詳細に公表されています。最も軽い「指示処分」でも過去3年分の情報は必ず公表されるので、探偵選びの際は必ず調べておきましょう。
- 各都道府県の警察署HPで確認してみよう
- 行政処分を受けた日から3年間のみ
探偵業届出番号を確認して警察に問い合わせる
警視庁のホームページを見てもよく分からない場合は、警察署や公安委員会に直接電話して確認することも可能です。電話確認する場合は、以下の手順で行ってください。
- 探偵事務所のホームページを検索
- 「会社概要」から「探偵業届出番号」を確認
- 管轄の都道府県の警察署か公安委員会に電話をする
- 「探偵業届出番号」を伝えて行政処分の有無を聞く
「探偵業届出番号」は、探偵事務所を開業するときに必ず届け出をして割り振られる番号です。探偵事務所のホームページのトップページや会社概要に記載されていることが多いですが、見つからない場合は探偵事務所に電話して「探偵業届出番号を教えてほしい」と聞いてみてください。
検索してもよくわからない場合は、「探偵業届出番号」を確認して警察署や公安委員会に問い合わせてみよう
行政処分の対象になる探偵の行為
「探偵業法」等に違反すると探偵事務所は行政処分を受けることになり、警視庁のホームページで3年間公表されてしまいます。では、何をすると探偵は行政処分を受けることになるのでしょうか。
ここでは、探偵が行政処分を受けることになる行為の一例を紹介します。
契約時の書類不備
探偵事務所の行政処分理由で多くみられるのが、契約時の書類不備です。警察や公安委員会の立ち入り検査の際、契約書類の不備が見つかると行政処分を受けることになるのです。
探偵は調査依頼を受けるとき、依頼者に「重要事項説明書」を交付し、契約内容を明らかにすることが義務付けられています。また、依頼者が調査結果を犯罪行為、差別的取り扱い等に用いないために「調査目的確認書(誓約書)」の交付を受けなければなりません。
その他、契約時に必要な各種書類に不備があると行政処分を受けることになります。
従業員名簿の不整備
探偵業者は、従業員の名簿を作成して備えておくことが定められています。
- 氏名
- 写真
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 採用した年月日
- 退職した年月日
- 従事する業務の種類
上記の内容をすべて記載しておく必要があり、退職した従業員のデータについても3年間は保管が義務付けられています。
複数の事務所を展開している場合、各営業所に名簿を備えておくことが義務付けられているのです。警察署や公安委員会の立ち入り検査のときに、名簿がないと行政処分の対象になります。
探偵業届出証明書の掲示義務違反
探偵事務所を開業するとき、各都道府県の警察署を経由して公安委員会に届け出をする必要があります。届け出が受理されると公安委員会から「探偵業届出証明書」が交付され、営業所の見やすい場所に掲示する義務が発生するのです。
そのため、警察署や公安委員会の対地入り検査時に「探偵業届出証明書」が掲示されていないと行政処分の対象になります。探偵事務所を訪問した時は、エントランスや事務所の見やすい場所に「探偵業届出証明書」が掲示されていることを必ず確認しましょう。
探偵事務所を訪問したら「探偵業届出証明書」が掲示されていることを確認しよう
つきまとい・迷惑行為
探偵の尾行や張り込みがターゲットにバレて、警察に通報されると「つきまとい行為」「迷惑行為」とみなされることがあります。探偵の調査業務であっても、人の生活の平穏を害する行為は許されません。
探偵の「尾行」や「張り込み」は正当な業務です。しかし、執拗な「つきまとい」や「待ち伏せ」ターゲットに不安感や迷惑を覚えさせることがあれば、「迷惑防止条例」等に抵触し、行政処分を受ける対象になってしまうのです。
「つきまとい」等で処分を受けている探偵は質が低いので、選ばないようにしよう
住居侵入
所有者の許可なく敷地内に立ち入ると、刑法第130条「住居侵入」として行政処分を受けることになります。浮気相手の名前や部屋番号を調べるためにマンションへ侵入したり、監視のために庭等へ侵入したりすることも住居侵入です。
新人探偵によるミスだとしても、探偵業法第十一条の「教育義務」も違反していることになるため、質の低い探偵事務所であるといえるでしょう。
探偵であっても無許可で他人の敷地内に立ち入ることは許されない
行政処分による探偵のペナルティ
探偵が「探偵業法」に違反すると、どのようなペナルティを負うことになるのでしょうか。ここでは、探偵が「探偵業法」に違反するとどのような行政処分や罰則を受けるのか、具体的に解説していきます。
指示処分
行政処分の中で最も軽いのが「指示処分」。業務内容の違反があったときに、公安委員会から必要な措置を取るように命ぜられる行政処分です。
指示処分でも警視庁のホームページには公表されます。軽い処分だとしても、営業に差し支えることには変わりありません。
営業停止命令
悪質な「探偵業法」違反や「指示処分」に従わなかった場合は、公安委員会から「営業停止命令」が下されます。「営業停止命令」は6カ月以内を基準に業務の一部または全部の停止が命令される処分です。
「営業停止命令」は、探偵業法違反以外に「ストーカー規制法」「詐欺」などの罪を犯した場合に適応されます。廃業命令ではないので営業停止期間が明ければ業務再開できるので、過去に営業停止命令を受けている探偵事務所に調査依頼する場合は「本当に信用できるか」「法律を守っているか」など慎重に見極めてください。
営業停止命令を受けている探偵事務所に調査依頼する場合は慎重に
営業廃止命令
探偵業法第三条に該当する者が探偵業を営んでいたことが発覚した場合、営業廃止命令が下されます。探偵に対する行政処分の中で一番重い処分です。
探偵業法第三条では「探偵業法を営んではならない者」が定められています。
(欠格事由)
電子政府の総合窓口e-GOV(探偵業法)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、探偵業を営んではならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
三 最近五年間に第十五条の規定による処分に違反した者
四 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
五 心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの
六 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの
七 法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
また、探偵業法第三条違反以外にも「脅迫」など悪質な行為があった場合、営業廃止命令と刑事罰が科せられます。
無届探偵は刑事罰が科せられる
無届けで探偵業を行っていた場合、行政処分ではなく刑事罰として「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。警察や公安委員会に届け出をせずに探偵業務を行っているため、悪徳探偵の可能性が高いです。
探偵に調査を依頼する際は「探偵業届出証明書」や「探偵業届出番号」を必ず確認し、警察署や公安委員会から認可を受けている探偵事務所に依頼してください。
無届探偵は悪徳業者の可能性が高いので「探偵業届出証明書」が確認できない探偵は絶対に選ばないようにしよう
優良な探偵の選び方
「探偵業法」に違反すると非常に厳しい罰則が定められているため、多くの探偵事務所は法律を守りながら適切に運営を行っています。しかし、中には悪徳な探偵事務所も存在するので、探偵選びの際は注意が必要です。
悪徳探偵に調査を依頼すると、以下のようなトラブルが起こります。
- 不当に高額な請求をしてくる
- まともに調査しない
- 調査人数を多く報告する
- 虚偽の報告
- 調査報告書の精度が低い
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、優良な探偵を見極めなければなりません。では、優良な探偵の選び方を消化しいます。
探偵業届出番号を確認する
探偵事務所を選ぶとき、まずはホームページに記載されている「探偵業届出番号」を確認してください。ほとんどの探偵事務所は、トップページや会社概要のページに掲載しています。ホームページに「探偵業届出番号」が掲載されていない場合は、探偵事務所に電話して確認しましょう。
「探偵業届出番号」を控えたら、管轄の都道府県警察署や公安委員会に電話をして「本当に実在する探偵か」「所在地は間違いないか」など確認しましょう。同時に「行政処分を受けているか」と聞けば、確実な情報が手に入ります。
探偵事務所の所在地を確認する
ホームページに記載されている住所を、地図検索してみてください。適切に運営している探偵事務所であれば、駅前やオフィスビルなどに事務所を構えています。
レンタルオフィスや自宅事務所の場合は要注意。無届探偵や悪徳探偵の可能性が高いので、事務所訪問できない探偵に依頼する場合は警察署や公安委員会に「実在する探偵かどうか」と問い合わせましょう。
探偵事務所の住所が実在するかどうか地図で検索してみよう
探偵事務所に直接訪問する
探偵に相談するときは、できるだけ探偵事務所に直接訪問してください。訪問したら、事務所の見やすい場所に「探偵業届出証明書」が掲示されているか確認しましょう。
また、探偵事務所に訪問することでオフィスや従業員の雰囲気なども確認できます。探偵との面談に喫茶店や自宅などを指定してきた場合は、事務所が実在しないかもしれません。
- 事務所に訪問して「探偵業届出証明書」の掲示を確認しよう
- オフィスや探偵の雰囲気、相性を確認しよう
調査報告書のサンプルを見せてもらう
依頼者にとって、最も重要な資料が「調査報告書」です。探偵選びの際は、必ず「調査報告書」のサンプルを確認してください。
写真や映像が鮮明で、行動記録が細かいものほど完成度が高いです。悪徳探偵の場合、数枚の写真やGPSの履歴だけしか渡してくれない場合があるので要注意。きちんとした報告書を作成してくれる探偵事務所を選びましょう。
調査報告書の完成度は重要!必ずサンプルを確認しよう
複数の見積もりを比較検討する
探偵に調査を依頼する場合は1社だけで決めず、必ず複数の探偵に相談して見積もりを比較検討してください。比較検討することで、適正な調査料金かどうか見極められます。
「今すぐ契約すれば安くなる」など、契約を急かしてくる探偵であれば依頼しないのが賢明です。まともな探偵であれば、契約を急かさず比較検討を待ってくれます。
見積りを比較検討して最も良い探偵を選ぼう
探偵の行政処分まとめ
「探偵業法」は、探偵の業務適正化や個人の権利利益を保護する目的で施工された法律です。探偵が「探偵業法」等の法律に違反すると行政処分や刑事罰などの厳しいペナルティを受けることになり、警視庁のホームページで3年間公表されます。
行政処分を受けている探偵事務所は「探偵業務を適正に行っていない」ということ。行政処分を受けている探偵事務所はインターネットで簡単に検索できるので、探偵選びの際は必ず確認しましょう。
優良な探偵事務所に依頼すれば、違法調査や高額請求などによるトラブルは避けられます。探偵選びで損をしないためにも、事前調査をしっかり行ってから依頼するようにしてください!
「探偵業法」を守り適正に運営している優良な探偵事務所を選ぼう