探偵業を開業するとき、各都道府県の警察署を経由して公安委員会に「探偵業の開始届出」の義務が法律で定められています。探偵業の届出を提出すると、公安委員会から交付されるのが「探偵業届出証明書」です。
当記事では「探偵業届出証明書」について解説します。探偵業届出証明書番号の検索方法なども紹介するので、最後まで読んで参考にしてみてください。
探偵業届出証明書について
適正に運営されている探偵を選ぶなら「探偵業届出証明書」を確認することが大切です。公安委員会から探偵の営業を認可され、適正に運営されている探偵事務所かどうか確認できます。
では、そもそも「探偵業届出証明書」とはどのようなものなのでしょう。当項目では「探偵業届出証明書」について簡単に解説していきます。
探偵業を営むために必要な届出の証明書
「探偵業届出証明書」とは、探偵事務所を開業届出をしたときに公安委員会から交付される証明書のこと。探偵業を営む際に、必ず営業所に掲示しなければなりません。
「探偵業法」という法律により、探偵業を開始する際は警察署を経由して公安委員会に届出をすることが義務付けられています。届出が受理されると、公安委員会から交付されるのが「探偵業届出証明書」です。
営業所の住所や電話番号などの変更があった場合は、10日以内に申請しなければなりません。また、紛失したときは速やかに再交付の手続きを行う必要があります。
「探偵業届出証明書」は公安委員会から交付される重要な証明書
探偵業を営めない者
探偵業の開始届出をすれば、だれでも必ず「探偵業届出証明書」が交付されるわけではありません。「探偵業法」第三条における欠格事由に該当する者は、届出をしても探偵業の開始が認められないのです。
(欠格事由)
電子政府の総合窓口e-GOV(探偵業の業務の適正化に関する法律)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、探偵業を営んではならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
三 最近五年間に第十五条の規定による処分に違反した者
四 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者
五 心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの
六 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの
七 法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
探偵は依頼人の個人情報やプライベートな事情を扱う業種なので、開業する際は上記のように規定が設けられているのです。「探偵業届出証明書」の交付を受けている探偵であれば、探偵になれる条件を満たしていることが証明されます。
届出をすれば誰でも「探偵業届出証明書」の交付が受けられるわけではない
公安委員会とは
公安委員会とは「警察の民主的運営」と「政治的中立性」を確保するために設置されている行政機関のこと。各都道府県に1つずつ置かれる組織で、各都道府県の良識を持った代表者により警察を管理する組織です。
国全体の安全に関する職務等を行う「国家公安委員会」と、地域の犯罪や交通の取り締まり等を行う「都道府県公安委員会」があります。「探偵業届出証明書」を交付するのは「都道府県公安委員会」です。
都道府県公安委員会は「任命前5年間に警察・検察の職務を行っていない者」のうちから、知事が議会の同意を得て任命されます。任期は3年間です。
無届け探偵に要注意
「探偵業届出証明書」の交付を受けていない探偵は、違法業者です。無届出で探偵業を行った場合、探偵業法の定めにより「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。
無届探偵は悪徳業者の可能性が高いので、依頼しないように注意してください。
- 高額支払いの強要
- 即時契約をしないと帰らせない
- 違法調査
- ストーカーへの情報提供
- 調査報告書を渡さない
- 調査が不十分
- 契約外の追加請求
- 契約期間中に連絡が取れなくなる
悪徳な探偵により、上記のような被害が起こる可能性があります。
探偵に調査を依頼するときは、かならず「探偵業届出証明書」の確認を行ってください。「探偵業届出証明書」は営業所の見やすい場所に掲示する義務があるため、探偵事務所に訪問すれば確認できます。
探偵事務所に訪問する前でも、ホームページの「会社概要」に掲載されている「探偵業届出証明書番号」を確認すれば「探偵業届出証明書」の交付を受けているかどうかの判別が可能です。「探偵業届出証明書番号」を控えたら管轄の都道府県警察に電話をして「実在する番号か」「問題ない探偵か」確認することで、適正な探偵事務所である確実性が増します。
探偵に調査を依頼するときは必ず「探偵業届出証明書」や「探偵業届出証明書番号」を確認しよう
探偵業の届出をする際に必要な書類
探偵業を開始する届出をするとき、各種書類の提出や手数料の支払いが必要になります。探偵業法第3条に基づき、探偵業を営むことができない者かどうか確認するためにも、本人確認書類などの提出が義務付けられているのです。
「個人の探偵」「法人の探偵事務所」によって、必要な書類が異なります。では、探偵の届出をする際に必要な書類について見ていきましょう。
個人が申請する場合
個人が探偵を営む場合は、以下の書類を提出することが定められています。
- 探偵業開始届出書
- 履歴書
- 住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
住民票の写しは、本籍地を記載の住民票でマイナンバーが記載されていないものを指します。外国人の場合は国籍等の記載が必須です。
誓約書は「探偵業法」第三条の欠格事由における「探偵業を営めない者」に該当しないことを誓約する書面です。また、このほかに手数料として3600円(収入印紙不可)の支払いが必要になります。
未成年が申請する場合
申請者が未成年である場合、区分に応じた書類の提出が必要です。
- 探偵業開始届出
- 法定代理人の氏名・住所を記載した書面
- 法定代理人が法人の場合は名称・住所・代表者の氏名を記載した書面
- 探偵業の営業許可を証明する書面
- 探偵業開始届出
- 法定代理人に関わる履歴書・住民票の写し・身分証明書・誓約書
- 法定代理人が法人の場合は当該法人、代用者、役員全員に係る履歴書・住民票の写し・身分証明書・誓約書
法定代理人とは、親権者(両親)や後見人のことです。未成年であっても、婚姻している場合は成年に達したものとみなされます。また、申請時は手数料3600円(収入印紙不可)が必要です。
法人が申請する場合
法人の場合は、以下の書類を提出します。
- 探偵業開始届出書
- 定款の謄本
- 登記事項証明書(法務局発行)
- すべての役員に係る履歴書・住民票の写し・身分証明書・誓約書
申請時には手数料として3600円(収入印紙不可)がかかります。
探偵業届出証明書の掲示義務
公安委員会から「探偵業届出証明書」の交付を受けたら、営業所の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。「探偵業届出証明書」を掲示していない探偵事務所は、行政処分の対象です。
「探偵業届出証明書番号」をホームページに掲載する決まりはありませんが、多くの探偵事務所では「会社概要」のページに掲載しています。探偵に調査を依頼する際は、まずはホームページに「探偵業届出証明書番号」の記載があることを確認しましょう。
探偵事務所に訪問したら、見やすい場所に「探偵業届出証明書」が掲載されていることを必ず確認してください。きちんと届出をしている探偵事務所を選ぶことで、トラブルに巻き込まれるリスクが下げられます。
探偵事務所に訪問したら「探偵業届出証明書」の掲示を確認しよう
探偵業届出証明書番号の検索方法
「探偵業届出証明書」は探偵事務所に行かなければ掲示されているかどうか確認できませんが、「探偵業届出証明書番号」ならホームページで確認できます。「探偵業届出証明書番号」が分かれば、警察や公安委員会に「適正に運営されている探偵事務所か」「行政処分を受けたことがあるか」などを問い合わせることも可能です。
インターネット検索や電話で簡単に確認できるので、探偵に調査を依頼するときは、事前に探偵業の届出が適切にされているかどうか確認しておきましょう。では「探偵業届出証明書番号」の検索方法について解説します。
探偵事務所のHPから「会社概要」を確認
自宅や調査地に近い探偵事務所をインターネットで検索し、公式ホームページを見つけましょう。多くの探偵事務所では「会社概要」のページに「探偵業届出証明書番号」を掲載しています。
「〇〇県公安委員会 探偵業届出 第〇〇〇号」という表記で記載されている番号です。営業所が複数ある場合は、営業所ごとに「探偵業届出証明書番号」が割り振られているのを確認しましょう。
まずは会社概要ページを確認しよう
探偵事務所に直接問い合わせる
探偵事務所のホームページに掲載されていなかったり、探し方がよくわからない場合は、探偵事務所に直接問い合わせることも可能です。電話やメール、問い合わせフォームなどから連絡してみてください。
適正に運営されている探偵事務所であれば、問題なく教えてくれるはずです。「探偵業届出証明書番号」を教えてくれなかったり、濁したりする場合は怪しいので避けた方が良いでしょう。
探偵事務所の対応で判別しよう
各都道府県の警察に番号の確認をする
探偵事務所のホームページや問い合わせなどで「探偵業届出証明書番号」が確認できたら、各都道府県の警察署に電話して「本当に存在する番号なのか」確認してみてください。同時に「行政処分を受けているか」「調査依頼をしても問題ないか」などを聞いてみることで、適正に運営されている探偵事務所かどうか知ることができます。
手間がかかりますが、優良な探偵を見つけるなら警察署に直接問い合わせるのが最も確実な方法です。警察に電話して探偵業の届出をしていないことが分かったら、悪徳探偵の可能性が高いので絶対に依頼しないようにしてください。
「探偵業届出証明書番号」を控えて警察に問い合わせよう
探偵業届出証明書まとめ
「探偵業法」では、探偵業の開始するときに各都道府県の警察署を経由して公安委員会へ届出をすることが義務付けられています。届出をすると公安委員会から交付されるのが「探偵業届出証明書」です。
「探偵業届出証明書」は営業所の見やすい場所に掲示することが義務付けられているため、探偵事務所を訪問した時に「探偵業届出証明書」があるかどうか確認できます。また、探偵事務所を訪問しなくてもホームページで「探偵業届出証明書番号」を確認すれば、「探偵業届出証明書」の交付を受けているかどうか調べることが可能です。
探偵の中には「探偵業の開始届出」をしていない悪徳業者も存在します。優良な探偵に調査を依頼するため、探偵選びの際は必ず「探偵業届出証明書」や「探偵業届出証明書番号」をすることが大切です。
探偵に調査を依頼するなら「探偵業届出証明書」や「探偵業届出証明書番号」を必ず確認しよう!